高齢者の運動機能維持が認知症予防・認知機能維持に大切

2018年2月22日

認知症予防には運動が有効であることが知られていますが、一方で低栄養から運動自体が難しくなる高齢者も増えています。認知機能を低下させないためにも、まずは運動機能維持が重要です。近年、ある栄養素が高齢者の筋力増加、運動機能維持に役立つことが研究で判明し注目を集めています。

認知症予防と運動の関係

日本の認知症患者数は年々膨れ上がっており、団塊の世代が75歳を超える2025年には700万人以上になると推測されています。これは、65歳以上の高齢者の5人に1人が認知症当事者となる数字です。

認知症の多くを占めているのがアルツハイマー型認知症。これまでの研究で、アルツハイマー型認知症の発症には、βアミロイドと呼ばれるタンパク質の脳への蓄積が関係していることがわかってきました。しかし、根本的治療法・予防薬は未だ確立されていません。そのため、現時点では非薬物療法による治療と発症予防が重要な対策となっています。

非薬物療法のひとつとして取り入れられているのが運動療法です。運動をすると、βアミロイドを分解する酵素の働きが促され、βアミロイドの蓄積を予防できるという報告があります。また、運動をした際に筋肉の細胞から放出されるホルモンには、脳細胞の増加に重要となる神経栄養因子を活性化する作用があり、それにより神経の伝達機能が向上するとも報告されています。

高齢者が陥りがちな「フレイル」

ウォーキングやジョギングといった有酸素運動は比較的高齢者でも取り入れやすい運動ですが、近年の高齢化で、高齢者が簡単な運動すらも困難になる「フレイル」の問題が浮き彫りになってきました。

フレイルとは、加齢にともなって筋力やなど心身の活力が衰え、「脆弱」になっている状態を指します。フレイルでは、筋力の衰えで活動量が減ることによって食欲も低下し、低栄養でさらに筋力が衰えるというサイクルに陥りやすくなります。そうなると、運動が難しくなるばかりか基本的な生活すら困難になり、要介護となってしまう可能性もあります。認知症予防となる運動を生活に取り入れるためにも、フレイルの連鎖を起こさせないことが重要です。

フレイル状態改善の工夫

フレイルは、脆弱な状態ではあるものの病気まではいかず、生活環境の改善で健康を取り戻すことが可能な状態です。しかし、食欲が低下し低栄養になりがちな中でどのような改善策をとればよいのでしょうか。実は、医療・介護の現場では、10年以上前から高齢者の低栄養対策に取り入れられていた栄養成分がありました。それが、「MCT」です。

MCTとは、中鎖脂肪酸100%の油のこと。ココナッツなどヤシ科の植物の種子から作られています。低栄養では、エネルギー不足から筋力や活力が低下することが問題となりますが、MCTは一般的に使用されているキャノーラ油やオリーブオイルに比べおよそ4倍も早くエネルギーに変わるという特徴があり、少しの量でも健康維持に役立つとされています。そして近年の研究で、MCTは体の筋肉量も増やし、高齢者のフレイル状態を改善させることもわかってきたのです。

研究では、低栄養状態の高齢者に、普段よりもタンパク質、アミノ酸、ビタミンDを増やした食事と一般的な油もしくはMCTを摂取させ、その後の体重やBMIの比較を行いました。その結果、一般的な油をとったグループとMCTをとったグループの両方で体重とBMI の増加が見られましたが、一般的な油では脂肪が増えたのに対し、MCTを摂取した高齢者は筋肉の量が増加していたのです。さらに、MCTを摂取した低栄養状態の高齢者が、握力や歩行速度まで向上するほどになったという結果も示されています。

MCTを上手にとって運動機能を維持しましょう

高齢者の場合、筋力や活力の低下から寝たきりになり、脳への刺激が減って結果認知機能も低下してしまう…というケースが多く見られます。MCTで筋力を高め、運動機能を維持することが、認知症予防にも大きく役立つと考えられます。

MCTはもともと脳のエネルギー不足をサポートすることでも知られる栄養素です。ブドウ糖に続く脳のエネルギー源である「ケトン体」を効率的に生成し、脳の機能低下を防ぐ働きがあるとされています。つまり、MCTは「脳のエネルギー不足予防」と「運動機能を維持させることで認知機能を高める」といったふたつの認知症予防効果を持つと考えられるのです。

認知症予防に役立つ運動を継続して続けていくためにもぜひ積極的に摂りたいMCT。毎日のお料理にMCTオイルを使ったり、無味無臭なので汁物やドレッシングに混ぜるなど簡単に取り入れられます。毎日の食事を工夫して、脳も身体も健康な生活を目指してみてはいかがでしょうか。

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